進路指導10年の軌跡 (4)

平成25年度入試 ~ まとめ

2014年09月01日更新

十 平成25年度入試

・センター試験の難化

 前年に全国で大混乱が生じたセンター試験は、前年の反省に基づいて運営が行われたためか、大きな混乱はなく終了した。しかし、センター試験そのものが平穏に終わったわけではない。ほとんどの科目で平均点が下がり、2年連続で上昇していた7科目総合の平均点も大幅にダウンした。下がり幅が大きかった科目は数学IA(-18・77点)と国語(-16・90点)である。また理科は全科目で平均点がダウンしたため、理系志望者へのダメージが大きかった。

 前年の平均点の高さから、前年よりも約4千人受験者が増えた「倫理、政治・経済」の平均点も6・46点ダウンした。この結果から、この科目が楽であり続けないことを理解した受験生は多いだろう。そもそも、この科目は学習指導要領にはなく、学校での授業は行われない。また、平均点が高かった前年も、高得点は取りにくかった。個別の事情にもよるだろうが、本校生徒にとっては、学校の授業を活用しながら地歴B科目で地道に高得点を狙う方が得策である。

・果敢な挑戦

 センター試験の難化により、全国の受験生が弱気になるなか、本校生徒は第一志望を諦めることなく、積極的に挑戦していった。本校で出願者の増加が目立つのは、秋田大117(+19)、北大31(+14)、千葉大18(+10)などである。このほか、筑波大14(+7)、国際教養大13(+5)、東北大121(+4)、東大34(+2)なども増えている。

 果敢に挑戦した本校生徒であったが、結果は厳しいものとなった。東大の合格者は3人止まりで、最近10年では19年度と並ぶ最少タイ記録となってしまった。過卒の合格者も1人だけで、計4人というのも最近10年の最少タイ記録であった。僅差で涙をのんだ生徒が多いなか、激戦の後期で1人が合格したのは一矢を報いた形かもしれない。なお、結果的に合格者は少なかったが、第一段階選抜の通過人数(前期は出願者24人全員、後期は10人中5人)は現行制度における本校の最多記録である。

 22年度に50人が合格して以来、現役だけで40人以上を維持していた東北大も33人の合格に止まった。内訳は文系12人、理系21人である。AOⅢ期では理系の合格者が出ず、前期日程では文系で合格可能性が高いと思われた生徒が涙をのむケースが多く見られた。例年70%以上である東北大合格者の現役占有率が66・9%まで落ち込んだことから、過卒生など「二次力」のある受験生が合格を手にしたと思われる。

 例年よりも合格者が多かったのは、筑波大6(+3)、国際教養大5(+3)、お茶の水女子大4(+2)などである。このうち国際教養大は、22年度から県内を対象に始まったグローバルセミナー入試で3人が合格したほか、A日程で1人、C日程でも1人が合格した。また、京都大2、名古屋大1(推薦)、大阪大1(後期)、神戸大1(推薦)など、西日本の大学の合格者が多かったことも特徴である。

・過卒生の強さ

 国公立の医学部医学科は、現役生が秋田大7(-8)にとどまる一方で、強さを見せたのが過卒生であった。秋田大10(推薦7十前期1十後期2)のほか、名古屋大1、旭川医科大1、金沢大1という結果を残し、現役生を圧倒した。なお、現役と過卒を合わせた医学科合格者の延べ人数は34人(国公立大20十私立大13十管外大1)とほぼ例年並みであった。

・私大進学者減少

 本校の私立大学の延べ合格者数は前年の113人から122人に増えた。しかし、合格者の実数は減少(75→63)し、進学者数は最近10年で最少の38人であった。私大の合格を手にしながら、国公立大学への再挑戦を決意した者が多かった。特徴的なのは、早稲田大合格者の増加(6→12)である。12人の内訳は推薦4人、一般8人で、例年よりも一般入試での合格者が多かった。

十一 まとめ ―おのれを修めて世のためつくす―

 以上、この10年間の進路概況を年度ごとに振り返ってみた。

 最後に、高橋貢校長に本校の進路指導の方針を述べてもらいまとめとしたい。

 現在、本県の少子化は加速度的に進行し、学校も大きな変化の波にさらされている。本校も例外ではなく、かつては1400人以上いた生徒も、来春(平成26年4月1日)には全校で825名の在籍になる。こうした時代に、どの大学に何人入ったかを比較しても、昔ほどの意味があるわけではない。大切なのは、どの大学に何人合格したかではなく、どのような志を持った生徒をどれだけ育てたかであり、現在本校の進路指導は、キャリア教育的視点をベースにそうした方向へ進んでいる。我々は、力不足かもしれないが、受験生を育てているのではなく、人間を育てているという誇りと自負を持って進みたい。ただし、生徒が東大や医学部を熱望するならば、その期待に応えるために全力を尽くすことは当然である。部活も同様である。あくまでも甲子園や花園、そしてインターハイを目指して全力を尽くすことは言うまでもない。それを諦めたことは一度もない。

 本校は、「品性の陶冶」(人間をバランスよく磨くこと)を大目標に掲げている。勉強も部活も学校行事も、すべて「品性の陶冶」のためにやるのだ。すべての教員が、生徒に向かってそれを頻繁に口にしている。

 「おのれを修めて世のためつくす」、この言葉は、あえて口には出さなくとも、生徒も教師も心に刻んでいる。今後とも、秋高の進路指導はこの言葉が土台であり、最終目標である。