生徒会・学校行事の変遷 (2)

生徒会活動の紹介

2014年09月01日更新

一 生徒会活動の紹介

(1)生徒会執行部の年間の活動

①対面式・生徒会オリエンテーション ―自主自律の精神を学ぶ―

 生徒会総務の新年度最初の活動は、入学式の翌日から連日にわたって行われる対面式、生徒会オリエンテーション、部活動紹介などである。

 これらの行事は、新入生にとって秋高独自の校風や精神を初めて感じる瞬間である。毎年恒例のアトラクションでは、先輩が心を込めて用意した知性溢れる漫才やトークショーが繰り広げられる。後輩に秋高の雰囲気を伝えることができる有意義な時間である。

 生徒会にとっても、この一連の行事は非常に重要である。オリエンテーションを通して、着装自由化に象徴される、秋高の「自由」や「自主自律」の理念を次世代を担う後輩に継承する、最初の段階だからである。

 生徒会オリエンテーションでは、まず生徒会役員が新入生に向けて、着装自由化の根本理念、制度として確立されるまでの過程を説明する。そして、着装の自由はいまだ試行期間であるということ、「自由」とは自分に対して責任をもつことであるということなど、秋高で学校生活を送るうえで理解しておかなくてはならない基本的な考え方を説明している。これをきっかけに、新入生はひとりの秋高生として、その「自由」を歩みだす。

②生徒総会・HR討議


活発な討議が行われる生徒総会

 現在の秋高において、全校生徒の生徒会に対する意見を集める最大の場が生徒総会である。会則の規定では、総会は年に1回、全校生徒を招集し、予算や委員会の活動案等の学校生活の根幹に関わる重要な議題を取り扱うものとされている。したがって、その重要な役割ゆえ生徒会に対する意見や批判が数多く寄せられるのもこの総会である。

 現状の生徒総会の問題点として、生徒は直前になって初めて資料を手にするため、読みこみ吟味する時間が十分でないこと、生徒の意見や要望を反映させた改善案が審議にかけられることが極めて少ないこと、生徒会の活動の内容が全校生徒に知られていないため、意見そのものが出しにくいことなどが挙げられる。総会の現状改善については、平成23年度に生徒会長の桑原将が総合調査委員会を設置し、生徒会組織や生徒総会のあり方について一般参加型の意見交換を行うなど、毎年なんらかの対策が打たれている。

 実際に会則改正を望む声は少なくないため、会則改正に乗り出した会長も存在する。しかし、生徒会活動の実態が一般生徒に認知されていないことが最大の問題であるため、広報活動を推進することが最善の方法であると考え、生徒会報の有効活用を現在検討している。

 平成20年度には、会長三浦航太が「自由再考」の一環として生徒会報Re.を発行し、全校生徒と意見を共有することを実現した。

 会報を通じて一般生徒に活動内容を提示し、広く意見を募集し、多様なニーズを共有することで、生徒総会以外の場で改善案の審議を行える体制を整えることを目指していきたい。

③「羽城」・卒業記念祭


卒業記念祭恒例の先生方による
アトラクション

 生徒会総務の最大規模の業務といえば、なんと言っても「羽城」の発行と卒業記念祭の企画・実施である。この二つの事業は、それぞれに相応の労力を要するので人員を2等分して準備にあたる。

 「羽城」は10月ごろから編集長を中心に記事の執筆・編集・推敲を行い、卒業式前に発行する。主な内容は、部活動や委員会の活動記録や華々しい成果、アンケート結果をもとにした特集コーナーなどである。クラスの紹介文は、ユニークな内輪ネタやクラス自慢がびっしりと書き込まれている。各ページ末に掲載されている学級日誌からの抜粋は、実に秋高生らしい機知に富んだユーモアに溢れており、根強いファンが多い。全校生徒の惜しみない協力をもとに創りあげられる「羽城」は、もはやただの記録ではなく、高校時代の思い出のつまった秋高生の心のよりどころと言えるだろう。

 卒業記念祭は、卒業を目前にした3年生に、尊敬と感謝の意を込めて催されるイベントである。この行事は完全に生徒会に委ねられているため、企画からくす玉の制作、アトラクションの依頼などを「羽城」担当以外の総務が遂行する。

(2)10年間の取り組み

①ボランティア活動

 私たちは秋高生である以前に社会の一員であって、何かしら社会に役立つことをしたいという考えのもと、生徒会では積極的にボランティア活動を行ってきた。

 平成21年度には、病院訪問を行った。市立秋田総合病院を訪問して入院している子どもたちと触れ合い、少しでも楽しい時間を過ごすことで入院のつらさを和らげてほしい、という思いから計画された。7月から12月まで何度か訪問し、紙芝居の読み聞かせやミニゲームなどをして子どもたちと触れ合った。12月の訪問では小児科クリスマス会にも参加して合唱をするなど、子どもたちに喜んでもらえたようだった。

 病院訪問以外では、大きな自然災害が発生した際には、直接現地へ行くことができない分、今、私たちにできることは何かを考え活動した。

 平成16年10月に発生した新潟県中越地震の際は、生徒会が主体となり10月24日から28日までの5日間、全校に募金を呼びかけ、生徒会室前に募金箱を設置した。わずか5日間であったにもかかわらず多くの生徒や先生に協力していただいた。集まった義援金は日本赤十字社に送付した。

 また、平成23年3月の東日本大震災では、同じ東北の、それも隣県で発生し、毎日のように報道される甚大な被害を目の当たりにして、被災して大変な思いをしている人々のために私たちがやれることをしようと、募金活動を企画した。

 この募金活動は秋田高校が主体となって、他の高校にも呼び掛けた結果、秋田北高校、中央高校、新屋高校のそれぞれの生徒会が応じてくださった。秋田駅のぽぽろーどで3月24日の午前10時から午後4時まで街頭に立ち、道ゆく人に募金を呼び掛けた。

 高校生という立場からでも社会のために、人のために何かをしようと考え、行動するのは大事なことであると思う。校歌の4番にある。”世のためつくす”の言葉を忘れずに秋高だけではなく、広く社会に対しても行動しようとする姿勢を今後とも持ち続けなくてはならないだろう。

②会則改正

 生徒会会則は昭和60年に一部改正されて以来、ほぼ改正されることなく実施されてきた。しかし、生徒数の減少や現状との内容の不一致などを踏まえて、平成20年度に「秋田高校生徒会会則改正」が生徒総会で承認され、翌年4月から施行された。改正されたのは、生徒総会、評議委員会および委員会の再編などである。

 生徒総会は、「月1回定例会を開く」ことになっていたが、現状では不可能であるため、「毎期2回定例会を開く」と改めた。生徒から総会を開きたいという要望がある場合は、生徒の意見を取り入れやすくすることと、生徒数の減少を踏まえて「30名の連署」で可能とした。

 評議委員会は総会と同様、「毎期2回開催」に変更された。事実上生徒会執行部が秋高祭で代替わりすることを踏まえて、夏季休業を境に行うことに改正された。

 大きく変化したのは委員会である。以前の会則では、「部活動委員会」は、運動部、文化部の部長により構成され、「評議委員会にも参加する」とあったが、実質的には活動しておらず、部活動で何か問題が生じたり、学校側と部活動について話し合う必要がある場合に限り設置できる臨時の委員会となった。「司法委員会」は生徒会執行部や常置委員会などの機関が会則に反する行為をしていないかを監視する目的で存在していたが、長年、主だった活動をしていないことが問題視されていた。生徒会執行部に対しては役員のリコールで、常置委員会には生徒会役員が勧告することで、それぞれ規制が可能なことから、今回の改正を機に廃止された。

 常置委員会では、「学年部委員会」と「視聴覚委員会」が廃止された。前者は、卒業記念祭の企画運営が主な活動であり、総務が直接担当した方が効率がよいという理由から、後者は放送委員会と活動内容が重なっており、専門的な知識を必要とする放送機器の操作などは、一般生徒がやるよりも放送委員会に依頼すべきという理由からである。

 しかし、次々と委員会がなくなると、残った委員会や執行部への負担が増える。そのうえ、生徒への迅速な対応ができなくなることから、廃止された3つの委員会の活動を引き継ぐ「庶務委員会」が新たに設置された。

 今回の改正では、生徒会の最高の意思決定機関である総会から常置委員会の再編まで、多岐にわたる内容が吟味、変更された。会則改正は、全校生徒の声がより反映することで、多くの生徒に生徒会活動に参加してもらい、よりよい学校生活をつくりあげることが目的である。ただし、会則がどれほど良いものであっても、実行する側の意識が伴わなければ活動に反映されない。全校生徒一人ひとりの意識が重要である。

③行事企画管理室の設立

 平成22年度には、生徒会執行部が再編された。今まで曖昧であった総務と行事企画委員会の関係を明確にするためである。生徒会総務は執行部の「総務執行補佐室」となり、行事企画委員会は執行部に組み込まれ、「行事企画管理室」となった。行事企画管理室長の任命は、執行部長である生徒会長が行う。

 行事企画管理室はこれまでと同じように、三大行事の企画・運営を行い、秋高の行事の中核を担っている。

④服装自由化に対する秋高生の意識調査

 平成18年度には、「自由再考」をテーマに、秋高の自由の理念の継承に関わる様々な活動が行われた。その中で、着装自由化に対するアンケートが行われた。その後、秋高生の意識はどのように変化しているのか、今年度、再びアンケートを行った。

【平成18年度】 自由についてのアンケートの総評

 着装の自由化については、どちらでもいいとの意見が多数あったことにわたしたちは生徒の着装の自由に対する関心が思ったほど高くないと感じた。ここで思い出して欲しい。私たち秋高生は、「学習の場にふさわしい服装」を自ら判断し着用することで自主自律の精神を一人ひとりが問い直す必要があるのではないだろうか。この結果に様々な意見を持つと思うが、だからこそ全校生徒の皆さんと一緒に改めてよく考えていきたいと考えている。生徒の意見を反映していくことはもちろんのこと、会報などを利用してより多くの情報を発信し、「開かれた生徒会」を目指す。

【平成25年度】 自由についてのアンケートの総評

 今回のアンケートは平成18年度に行われたものをベースに、時代の変化や現在の校風を考慮して一部改めたうえで実施した。入学前後の秋高に対するイメージの変化や秋高生の服装の乱れに対する認識では目立った変化は見られなかった。一方、着装の自由を維持するべきだという声は、79%から97%へと大幅に増加している。全校生徒のほとんど全員が着装の自由という伝統を受け入れているという結果が読み取れる。これは、自由を必要とする意識によるものか、伝統への誇りから生じたものかは分からない。ただ現在の秋高生には少なくとも伝統を受け継いでいこうという意志が定着していることは確実であろう。秋高の「自由」を今後とも誇るべきものとして良い形で後世に伝えていきたい。 


平成23年7月18日付 秋田魁新報