PTA活動10年の歩み (1)

2014年09月01日更新

一 はじめに

 平成15年度から平成24年度までのPTA活動を概観すると、特徴的な出来事として平成18年に開催された第56回全国高等学校PTA連合会大会秋田大会、そして平成17年度から4年間にわたって行われた学校公開「みんなの登校日」が挙げられる。さらに、平成元年に始まった登校指導を受け継いだ「敬天週間」への参加は現在も継続されている。PTAだより「たかだい」は年2回発行し、平成24年3月には129号を数えるに至った。

 本校の保護者の教育に対する関心はきわめて高い。学校行事や芸術鑑賞教室、講演会等には毎回多くのPTA会員が参加し、PTA総会や学年PTAの出席率も良い。毎年1回実施する学校評価のための保護者アンケートからは、学校に対する熱い期待が読み取れる。保護者と本校職員の活発で密度の濃い情報交換が、秋高の躍進を支えてきたと言えるだろう。

 PTAに関わる主なトピックを通して、この10年間を振り返ってみたい。

二 全国高等学校PTA連合会大会秋田大会

 全国高P連秋田大会は、秋田市立体育館を主会場に、能代市、男鹿市、横手市に会場を分散して開催された。全国から1万人余りが参加して、平成18年8月23日から25日までの3日間にわたり活発な研究協議・交流が行われ、本校PTAからも大越英雄会長、面山浩康副会長、山崎義裕副会長らが第1分科会「高校教育とPTA」の運営・進行等にあたったほか、本校吹奏楽部が第1分科会のアトラクションとして演奏を披露した。職員からは羽深美希子教諭が特別第3分科会「学習意欲と学力向上を考える」にパネリストとして参加した。

〈参加者の感想より〉

「高P連全国大会を終えて」

PTA会長 大越 英雄

 第1分科会担当ということで大会に参加させていただきましたが、スタッフが作成されたスケジュールが大変素晴らしく、大過なく無事務めを果たすことができました。分散大会ではありましたが、逆に秋田の特色を発揮できたのではと感じています。全国大会は以前神戸大会に参加しましたが、それと比較しても遜色のない素晴らしい大会であったと思います。大会開催決定後、準備に奔走されたスタッフの皆様に感謝いたすとともに秋田大会に参加できた喜びを感じているところです。

  (秋田県高等学校PTA連合会広報紙99号より一部抜粋) 


平成18年12月1日発行 「全高P連会報」第56号

三 みんなの登校日

 「開かれた学校づくり」の一環として、平成17年度から実施された県の施策が「みんなの登校日」であった。本校でも事業の趣旨に沿って授業や課題研究発表会、芸術鑑賞教室等が公開されたほか、多彩な講演会が企画され、多くの地域住民・保護者が学校に足を運んだ。

みんなの登校日 関連行事

〈平成17年度〉

  • ① 授業公開 6月24日・28日・29日 ほか
  • ② 講演会
    • 東北大学総長 吉本高志氏「国立大学法人 東北大学」
    • 盛岡中央ゼミナール校長 小坂敏雄氏「夢の実現のために~1年生からの学習法」
    • 元日弁連副会長 小林昶氏「現代を生きる親子の抱える諸問題とその対応の仕方」
    • 国際教養大学長 中嶋嶺雄氏「グローバル化と日本の大学」
    • 彫刻家 鎌田俊夫氏「一事、一人を深めることこそ普遍への道」
  • ③ 理数科2年生による課題研究発表会

〈平成18年度〉

  • ① 授業公開 6月23日・27日・29日 ほか
  • ② 講演会
    • 読売新聞編集委員 橋本五郎氏「なぜジャーナリストになろうとしたか」
    • 盛岡中央ゼミナール校長 小坂敏雄氏「夢の実現のために~1年生からやるべきこと~」
    • 秋田県日本中国友好協会理事長 杉渕廣氏「日中問題を考える」
    • 中通総合病院医師 松田淳氏「君たちはどう生きるか?~小児科医が語る青春論」
  • ③ 芸術鑑賞教室 古典芸能(狂言と落語)
  • ④ 理数科2年生による課題研究発表会


平成18年7月21日発行 「たかだい」116号

〈平成19年度〉

  • ① 授業公開 6月25日・27日・29日 ほか
  • ② 芸術鑑賞教室(オーケストラ公演)
  • ③ 理数科2年生による課題研究発表会
  • ④ 講演会
    • 盛岡中央ゼミナール校長 小坂敏雄氏「夢の実現のために~1年生からやるべきこと~」
    • 昭和大学教授 横浜市北部病院副病院長兼消化器センター長工藤進英氏「大腸がん・診断と治療の日本の役割」

〈平成20年度〉

  • ① 授業公開 7月11日・14日 ほか
  • ② 羽城館(同窓会館)公開「石井晴子展」
  • ③ 学生食堂開放
  • ④ 講演会
    • 河合塾仙台校理事 渡辺嘉昭氏「難関大学現役合格対策~変わりつつある大学教育」
  • ⑤ 理数科2年生による課題研究発表会
  • ⑥ 芸術鑑賞教室(オーケストラ公演)

四 「敬天週間」への参加 ~登校指導~

 PTA生徒指導部と学校生徒指導部が連携しての登校指導は、平成元年にPTA役員が登校指導を見学したことをきっかけに始まった。この活動が平成21年からは「敬天週間」として定着し、現在はPTA生徒指導部が5月、9月、11月の年3回、登校指導に参加している。

〈参加者の感想より〉

地域の見守りのなかで

立木 敦子

 春らしい暖かさがやっと感じられるようになった今年5月の敬天週間(5月14日~17日)は、穏やかな天候に恵まれ実施されました。

 7時30分:担当の先生をはじめ秋田東地区少年保護育成委員会の方々が、すでに校門前やうぐいす坂下と各箇所に立たれており、生徒たちに声を掛けてくださっていました。

 交通安全とあいさつ励行の指導が目的のこの敬天週間ですが、子どもたちが成長するに従いあいさつをする相手や回数が減っていると感じるこの頃、この活動での朝のあいさつは心地よいものでした。また、地域の方々の目には秋高生がどのように映っているのかと合わせて登校時の様子を知ることができ有意義な時間となりました。
7時40分:生徒会も加わり一段と大きな声であいさつが交わされ登校の流れも何度かのピークがありました。私の前を通り過ぎる見覚えのある顔、反応の良い男子生徒、笑顔で返してくれる女子生徒、時間を気にしながら足早に登っていく姿など誰もがとても落ち着いており好印象を受けました。この様子からは、先生方の日頃のご指導や各家庭での子どもとの関わりが想像できました。

 8時10分:校門をめがけて勢いよく駆け込んでくる数人の生徒が見受けられましたが、その後はうぐいす坂を登っていく生徒も途切れて登校は完了しました。一緒に参加いただいた地域の方からは、「子供たちから今日も元気をもらった」と言っていただきました。この活動を通して、「さすが秋高生!」(秋高生は違う!らしいです)と期待の目が子どもたちに向けられ、地域の恵まれた環境の中で見守られていること、細やかな指導をしてくださっている先生方、学校であるということを近くで感じることができました。そして毎朝、安心して送り出せることに感謝いたします。

 うぐいす坂の光景も季節が変わる頃には、子どもたちがますます成長し、またすがすがしい気持ちにさせてくれる敬天週間を迎えられることを期待しております。

       平成25年7月19日発行 「たかだい」130号

五 PTAだより「たかだい」への寄稿より

 年に2回発行している「たかだい」にはPTA会員からも多くの原稿を寄せていただいており、紙面からは高校生を持つ保護者の悩みや喜びが伝わってくる。ここではその中から、全県母親会員交流会の感想と、東日本大震災後の所感の二つを紹介する。

全県母親会員交流会に参加して

高橋 幸子

 高校に入学して初めてのそれも母親だけの交流会ということで、多少ドキドキしながら参加させていただきました。各高校や近隣の県からの参加もあり、お母さんたちの思春期の息子や娘に対する思いが、とても感じられる会だったと思います。

 講演をいただいた臨床心理士の秋山邦久先生に関しては、今の高1生の子が小学校時代に「とてもいい講演だよ」と知人に教えてもらいました。が、私自身は生で聞く機会がなかったので、うれしかったです。

 先生の話では、子どもと向き合う時に一番大事なことは、まず相手を認めてあげること。でも大方の親は、認められない、あるいは認めたくないからこそ子どものことで思い悩むのではないでしょうか。先生の話を聞いて、大人や子どもにかかわらず、日々相手を認めることを意識しながら生きて行くことが、とても大事なことだと感じました。

 それからもう一つ心に残ったのは、「折り合い」という言葉です。人は皆、どこかで折り合いをつけないと生きていけない。その力を今のうちに身につけられるよう、日々の家庭生活の中で努力していかなくてはと感じさせられました。

 午後には、グループ別に討議会も行われ、いろいろな意見交換で、とても盛り上がりのある会でした。

 今の時代、物も情報も溢れすぎていて、逆に「不幸な時代に生まれたかも」と時々子どもに話します。自分に必要な物や情報だけを取り出す力を、自分の子は身につけているのだろうか? 自分を見失わず、世間に流され過ぎず、賢く生きる力をまず親が身につけていなければと考えさせられます。

 秋山先生の言う「まず認めてあげる」ことのできる親、を日々意識しながら暮らしていけたらと思います。

       平成18年3月1日発行 「たかだい」115号

生活スタイルの見直しと絆づくり

PTA会長 佐藤 悦紹

 3月11日の大震災から4か月、毎日繰り返される報道に接し、被災された方々のご労苦を思うと、涙を禁じ得ません。被災地の一日も早い復旧・復興をお祈りするばかりです。

 大きな被害のなかった秋田でも、地震直後の大停電や余震による深夜の停電などで、これまで経験したことのない大混乱となりました。原子力発電所の事故による影響も重なり、7月からは法律に基づく電力使用制限令が発動されるなど、「節電の夏」が本格的にスタートしています。今回の節電は、電力需給調整のためのやむを得ない緊急措置ですが、現在運転を予定している発電所が全て順調に稼働するという前提だとすれば、まさに綱渡りの状態ではないかと心配です。

 地震による長時間の停電が復旧し街に灯りが戻った時には、電気のありがたさを改めて感じましたが、過度に電気に依存した生活がこのままでよいのかと考えさせられました。猛暑も予想され、節電も簡単ではありませんが、東北の、秋田の美しい自然を次の世代に引き継いでいくためにも、この機会に電気に頼りすぎている生活スタイルを見直し、環境への負荷を低減していく取り組みを、継続的に進めていく必要があるでしょう。

 ところで、この大震災を契機に「父親の尊厳復活」という記事がありました。家族の絆が弱まっているといわれる中、今年の父の日アンケートでは、3人に1人が「頼もしさが増した」など、父親の存在感を感じる割合が増えているとのことです。また、震災があったことで、家族、仲間、地域のコミュニケーションや絆が深まったとの声も多くありました。わが家でも、家族や周りの方の協力で、停電や燃料不足の不目由な生活を何とか乗り切ることができましたし、震災後は家族の会話が少し増えたように思います。東京在住の同窓生は、なかなか連絡が取れなかったので秋田市も大きな被害を受けているのではないかと安否を心配してくれていました。

 遅々として復旧の進まない被災地のために何かしたいとの思いは誰にもあると思います。ボランティアとして、現地に赴くのは難しいでしょうが、この夏休みは、自分たちができることを家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

 節電・エコ生活、わが家の防災対策、地域の方々との絆づくり等。そして、少しだけ存在感の増したお父さん、もしかしてさらに行動力の増したお母さん、できることから子どもと一緒に行動してみてはいかがでしょうか。

 私も、被災地支援のチャリティーイベントに協力したり、PTA、同窓会活動や地域の活動など、積極的に絆づくりにも関わっていきたいと考えております。

       平成23年7月21日発行 「たかだい」126号