新たなる伝統への流れ (3)

「佐々木毅杯―知の探究コンテスト」のあゆみ

2014年09月01日更新

一 はじめに

 平成20年度より、新たな学校行事「知の探究コンテスト」が実施されることとなった。

目 的 1年生および2年生のグループによるさまざまな分野の課題の探究を通じて、本校の学校教育目標に掲げる「真理を愛し高い理想と旺盛な探究心をもって学習に精励する生徒を育成する」とともに、生徒の問題解決能力、プレゼンテーション能力およびディべート能力等のさらなる向上を図る。

 第1回の開催にあたり、本校の卒業生である元東京大学総長佐々木毅先生よりご講演を賜り、以降、偉大な先輩である氏のお名前を冠した行事として継続、第5回を数える現在では行事としてすっかり定着した感がある。

 前期の後半、学校行事が一段落した時期より、1・2年生全員(理数科は別に「課題研究発表会」を実施しているので除く)が自由なテーマに基づき研究を進める。1年生は「情報A」の授業とリンクさせ、各自の題材をプレゼンテーションの手法を学びながら発表資料にまとめる。その後、クラス内発表を経て代表グループが決まり、1月に行われるクラス代表発表に臨むこととなる。

 当初は教務部が中心となって、審査基準の設定や生徒への指導を行った。2年目以降からは特別活動部が企画運営を担当している。

二 受賞作品

◆第1回(平成20年度)

記念講演    平成20年9月17日(水)
クラス代表発表 平成21年1月28日(水)

最優秀作品

2年A組「日本社会のゆがみと、未来の日本社会への考察
 ―ワーキングプア・自殺者を生み出す社会構造の日本を考える―」

優秀作品

2年D組「『本』はなくしてよいのか?
 ―秋田で本に関わる人たちを取材しての考察―」

敢闘賞

1年G組「今のエコはエゴではないか」

最優秀プレゼンテーション賞

2年B組「理想の世界秩序の実現に向けて
 ~21世紀の世界教育への提言~」

◆第2回(平成21年度)

クラス代表発表 平成22年1月20日(水)

最優秀作品

1年E組「The選ばれし席」

優秀作品

2年C組「秋田県の未来への提言
 ―秋田ブランドの宣伝活動の実態を探ってみて―」

敢闘賞

1年G組「セカンドライフから考える秋田の活性化」

最優秀プレゼンテーション賞

1年E組「The選ばれし席」

◆第3回(平成22年度)

クラス代表発表 平成23年1月26日(水)

最優秀作品

1年D組「The Gold Finger~知られざる板書テクニック~」

優秀作品

2年F組「等和式の規則性」

敢闘賞

2年A組「宗教的側面から見た死生観」

最優秀プレゼンテーション賞

1年D組「The Gold Finger~知られざる板書テクニック~」
2年B組「SF」

◆第4回(平成23年度)

クラス代表発表 平成24年1月25日(水)

最優秀賞

1年H組「検非違使忠明のように清水の舞台から蔀がうける
 空気抵抗のみでおりることができるかを物理的に検証」

優秀賞

1年C組「英単語と記憶」
1年D組「国民的アニメにおけるサブキャラの可能性~バタコ~」

敢闘賞

1年E組「HEX」

◆第5回(平成24年度)

クラス代表発表 平成25年1月23日(水)

最優秀賞

2年G組「Possibility for Revolution in Akita」

優秀賞

1年A組「うわっ…私の効率、悪すぎ…?」

敢闘賞

1年D組「磯野家エンディング邸の物理学的特性についての考察」

三 おわりに

 内外より高い評価を得ている本行事であるが、改善点もいくつかあげられる。

 まずは活動時間の確保。これについては、平成25年度より教育課程の変更で2年生においても「情報A」の授業が行われるため多少は解消できる見通しである。ただ、情報科のご厚意により授業でプレゼン資料作成をさせていただいているものの、生徒自身がその足で取材や資料集めを行い、論点を明確化することが活動の本意である。授業だから、という受け身の姿勢に陥らないよう、学年・クラスでの雰囲気づくりが必要であろう。

 2点目。クラス代表発表において、実演や動画・音声の使用など工夫を凝らしたプレゼンをするグループが年々増えている。生徒側との打ち合わせを十分に行い、ハード面で生徒の要求に応えられるような環境を整えていかなくてはならない。

 今後、「高校時代、『知の探究コンテスト』に取り組んだことが学問へ向かう姿勢の基本をつくった」と感じてくれる生徒が一人でも増えてくれれば嬉しい限りである。「秋高の特性を生かしたキャリア教育」という視点からも、さらに充実させたい行事である。