発刊を祝して

秋田県教育委員会教育長 米田 進

2014年09月01日更新

 秋田高校が「創立140周年」の道標を立て、150周年という大きな節目に向けて新たなスタートを切る年を迎えた。同窓生の一人として心から嬉しく、そして誇らしく思う。また、私的なことだが、日々、教育長室の窓から、手形中台の秋高校舎とともに、「♪天上はるかに~」と謳われている霊峰太平山を右手奥に望みながら仕事をしている。実に恵まれた環境にいるものだ、とつくづく感じている。

 教育長に就任した平成23年4月、教育における根幹は「子どもたちのために真心を尽くすこと」である、ということを県内の校長先生方に伝えた。秋高の「羽城館」傍らにある古村先生の顕彰碑に刻まれた「心外無教」という教えを引いたものである。10年前に発行された『先蹤録』には、先生が母校100周年のために残した言葉であると記載されている。教育関係者にとっては正鵠を射た有り難い言葉である。

 さて、校舎が昭和37年3月3日現在地に移転し、同月6日に授業を開始してから今年で51年目になる。中台から巣立った同窓生は2万2500余名を数えるが、一人ひとりが皆、多彩な秋高生活を送ったことを考えると、この数字で一括りにすることはもとより乱暴なことかもしれない。ただ、時こそ違え、うぐいす坂を上り、中台の学びやで、品性の陶冶、学力の充実、心身の錬磨に努め、自らの生き方の原点を作った人がこれほどの数になるということの意味は大変深い、と思うのである。現在、国内外で活躍している同窓生同士の繋がりは互いに大きな支えになっている。今後そのネットワークが、なお一層拡大することを心から願って止まない。

 グローバル化の進展、社会情勢の激しい変化の中で、目指す教育の在り方も大きく変わるであろう。しかし、状況の変化に拘わらず、天下の秋高には、常に未来を見据え、人材輩出の一大宝庫として、一層飛翔することを願い発刊のお祝いとしたい。

(昭和45卒)